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食塩水を使った電解次亜水生成器。次亜塩素酸水?次亜塩素酸ナトリウム溶液? [生活お役立ち情報]


一つ前の記事で次亜塩素酸ナトリウムと炭酸水で弱酸性~中性の次亜塩素酸水を作製する方法をアップしました。

一方、食塩水を使った電気分解で電解次亜水が簡単にできると謳っている製品がネットで数千円程度からあります。我が家ではその製品で作製した電解次亜水は使っていませんが、果たして本当に次亜塩素酸水ができるのか?と気になり、製品を試して試験紙で簡易検証してみました。

今回検証したのは「消毒液製造機」としてよく見られる中国製のものです。
消毒液製造機_外箱.jpg

容器は300 mLのスプレー容器で底の部分に電気分解を行う部分がありました。
消毒液製造機_外観1.jpg

この種の機器は様々な名称があり、中には非常に紛らわしい名前(次亜塩素酸水生成器とか)が付いています。今回の製品の取扱説明書によるときちんと「次亜塩素酸ナトリウム消毒液を製造」と書かれていました。
理論上は次亜塩素酸水と呼べるもので無いだろう…と思ってましたので、きちんと書かれていて少しホッとしました。
消毒液製造機-取説一部.jpg

それはさておき。早速に製造させてみます。
今回は低濃度の設定で水を300 mLと食塩7.5gを容器に入れ、スプレー口を閉として、USBコードを接続しました。若干接続が不安定でしたが、底のLEDライトが通電を知らせてくれました。
ちなみにこの食塩水の濃度は計算すると2.5%(25 mg/mL)となります。海水の塩分濃度が3.5%であることを考えるとかなりの高濃度です。その後、底に近いところにある電源を押し、電気分解を開始させてみました。
反応前後の様子.jpg
反応開始後は底からブクブクと電気分解による気体が確認できました。青く光っているのは底のLEDの光です。その後は取説通り、約8分後に電気分解が終了し透明な液体が出来上がりました。

さて、では出来上がった液体についてpH試験紙と次亜塩素酸試験紙でチェックしてみました。
以下は、完成した原液とそれを3倍希釈した液体での結果です。
食塩7.5g.JPG
次亜塩素酸濃度は取説では300~500 mg/Lと書かれていましたが、3倍希釈液でおよそ200 mg/Lの色合いでしたので、原液は600 mg/L前後でしょうか。ほぼ取説に近い値の次亜塩素酸はできていそうです。pH試験紙の色合いではややアルカリ性のpH9程度でしょうか。

次亜塩素酸はpHで溶液での存在状態が変わり、アルカリ側ほど次亜塩素酸イオン(ClO-)となり、酸性側に傾くと次亜塩素酸(HClO)となります。HClOの割合は酸乖離定数から、pH8で約25%、pH8.5で約10%、pH9で約3%となりますので、できた溶液の殆どが次亜塩素酸ナトリウムで、ほんの少し次亜塩素酸水が混じっている状態でしょうか。なお、計算上ではかなりの食塩が反応せずに残っているとは思われます(後述)。

そのため、水300 mLに加える食塩を1gにして再度8分間反応させてみた結果が以下です。
食塩1g.JPG
食塩1gでも次亜塩素酸はできており、3倍希釈液でおよそ50 mg/Lの色合いでしたので、原液は150 mg/L前後でしょうか。pHは先ほどよりは少し中性よりのアルカリ性(8程度)でしたので、こちらも次亜塩素酸ナトリウムの割合が多い液体と思われます(食塩も残っていると思われる)。

結論ですが、正直予想よりはきちんと次亜塩素酸ナトリウムができる機器であるとは思われましたが、取説通りの食塩量では未反応の食塩の割合も相当あると思われます。
そのため個人的な見解ですが、余計なものが残っていることを考えると、本機器で次亜塩素酸ナトリウムを作製するなら、市販の漂白剤(ハイター)などを適切に希釈して使われたほうがよっぽど良いだろうとは考えられました。

【おまけ】
最後に私の化学の知識で少しだけ考察してみました。
こちらは独り言で、かつ間違いがあるかもしれませんので、ご興味があればで…

食塩水の電気分解は中学での科学実験でも行われており、その時にはマイナス極からは水素、プラス極からは塩素(ただ塩素は水素よりも水に溶けやすいため飽和に達するまでは気体としてはなかなか発生しない)が発生、溶液中には水酸化ナトリウム(NaOH)ができると恐らく習われているかと思います。

ではなぜ次亜塩素酸ができるのか?
実はこの水に溶け込んでいる塩素が更に水や水酸化ナトリウムと反応して、生成されると考えられます。完全な化学反応式はかなり複雑になると思いますが、もし次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水が同程度にできる条件だと仮定したら、私が理解した全体として起こる反応は以下などが混じったものではないだろうかとは思っております(厳密には間違いがあると思います)。
3NaCl + 4H2O → 2NaClO + HClO + 3H2 + NaOH(もしくは 3NaClO + 3H2 + H2O)
2NaCl + 2H2O → H2 + Cl2 + 2NaOH(中学で習った反応式)

水酸化ナトリウム(NaOH)がやはり残りますので、最終的にややアルカリに傾いた次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)の割合が多い液体ができるとは思われます。
また、上の化学式からは食塩と、反応後の次亜塩素酸は同モル数となりますが、食塩7.5gを加えた反応から得られた次亜塩素酸ナトリウムの濃度が600 mg/L程度でしたので、300 mL換算では約180 mgしか生成されていないことになります。
分子量の違い(食塩は58.44、次亜塩素酸ナトリウムは74.44)からは、計算上は反応した食塩の量は140 mg程度となりますので、次亜塩素酸まで反応している食塩はごく一部?…ということは想定されました。

実際に反応後の食塩濃度は測っていませんので、あくまでもその可能性があるかも?、ということでお読みいただければとは思います。
まぁ一つ言うとすれば、私ならこの機器を使うくらいなら、市販の漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム液)を適切に希釈して使うなぁ…とは思いました。

ご参考になれば幸いです。




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